ライブ配信の音質を劇的に上げる方法【OBS設定+マスタリング】
OBSの音声設定を見直すだけでライブ配信の音質は大幅に改善。音声フィルター設定からDeckReadyによるBGM事前マスタリングまで徹底解説。
配信の音質が悪いと、視聴者は30秒で離脱する#
ライブ配信において、映像が多少粗くても視聴者は我慢できます。
しかし、音声が聞き取りにくいと、ほぼ確実に離脱します。
よくある音質の問題:
- マイクの音が小さい(または大きすぎて割れている)
- BGMと声のバランスがおかしい
- 「サー」というノイズが常に聞こえる
- キーボードの打鍵音やマウスのクリック音が気になる
- 声がこもっていて何を言っているか分からない
この記事では、OBSの設定だけで改善できるポイントと、 BGMを事前にマスタリングしておくことのメリットを解説します。
OBSの音声設定を見直す#
サンプルレートとチャンネル#
OBSの「設定」→「音声」で基本設定を確認します。
| 項目 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| サンプルレート | 48kHz | YouTube/Twitchの内部処理に合わせる |
| チャンネル | ステレオ | BGMをステレオで流すため |
44.1kHzでも動作しますが、配信プラットフォームが48kHzで処理するため、 リサンプリングが発生して音質がわずかに劣化します。
音声ビットレート#
OBSの「出力」→「音声」セクションで設定します。
| 配信内容 | 推奨ビットレート |
|---|---|
| トーク中心 | 128kbps |
| 音楽・ゲーム配信 | 160-320kbps |
Twitchは320kbpsまで対応しています。 帯域に余裕があれば、高いビットレートにしておいて損はありません。
OBSの音声フィルターを活用する#
OBSには音声フィルターが内蔵されており、プラグインなしで基本的な音質改善が可能です。
マイクソースを右クリック → 「フィルタ」で以下を追加します。
1. ノイズ抑制(Noise Suppression)#
推奨設定:
- 方式:RNNoise(AIベースのノイズ除去)
- 抑制レベル:デフォルトのまま
RNNoiseはAIで学習された音声/ノイズ分類を使うため、 従来型のノイズゲートより精度が高いです。 キーボード音、エアコン音、ファン音などを自然に除去します。
2. ゲイン(Gain)#
マイクの音が小さい場合に使います。
推奨設定:
- ゲイン:+3〜+10dB(音量メーターを見ながら調整)
- 通常のトーク時にメーターが-12〜-6dBあたりを指すレベルに
ゲインを上げすぎるとノイズも一緒に増幅されるので、 まずはマイクをオーディオインターフェース側で適切にゲイン設定してから、 OBS側で微調整するのが正しい順序です。
3. コンプレッサー(Compressor)#
声の音量差を圧縮して、ささやき声も叫び声も聞き取りやすくします。
推奨設定:
- Ratio:3:1〜4:1
- Threshold:-18dB
- Attack:6ms
- Release:60ms
- Output Gain:+4dB
テンション高く叫んだ時に音割れする、逆に落ち着いて話すと聞こえにくい、といった問題を解決します。
4. リミッター(Limiter)#
コンプレッサーの後段に入れて、絶対に超えてほしくない音量の上限を設定します。
推奨設定:
- Threshold:-3dB
- Release:60ms
突発的な大声やくしゃみなどで、視聴者の耳を守る安全装置です。
フィルターの適用順序#
順序は重要です。 上から下に処理が流れます。
1. ノイズ抑制(RNNoise)
2. ゲイン
3. コンプレッサー
4. リミッター
ノイズ除去を最初に行い、きれいになった音声に対してゲインやコンプレッションをかけるのが正しい順序です。
BGMの音量バランス#
声とBGMの理想的なバランス#
ライブ配信で最も難しいのが、声とBGMのバランスです。
一般的な推奨バランス:
- マイク音声 — 基準レベル
- BGM — マイクの**-15〜-20dB下**
- ゲーム音 — マイクの**-6〜-10dB下**
- 通知音 — マイクの**-20dB以下**
BGMは「流れていることに気づかないくらい」が適切です。 BGMの歌詞が聞き取れるようでは、音量が大きすぎます。
OBSでのBGM音量設定#
デスクトップ音声やメディアソースでBGMを流す場合、 OBSのオーディオミキサーでフェーダーを下げます。
具体的な手順:
- マイクの音量を先に適切に設定する
- BGMを再生し、メディアソースのフェーダーを下げる3. 自分で話しながら、 BGMが「うっすら聞こえる」レベルに調整4. 可能であれば、 友人に配信を聴いてもらってフィードバックをもらう
BGMを事前にマスタリングするメリット#
問題:BGM素材の音量がバラバラ#
フリーBGMサイトからダウンロードした曲や、 ストリーミングから取り込んだ曲は、音量がバラバラです。 配信中にBGMが切り替わるたびにフェーダーを調整するのは、 配信のクオリティを著しく下げます。
解決策:DeckReadyで事前に処理#
配信で使うBGM素材を、DeckReadyで事前にマスタリングしておくことで、 この問題を根本的に解決できます。
DeckReadyでの処理内容:
- 全曲のラウドネスを統一(-14 or -16 LUFS)
- ピークを制限してクリッピングを防止
- 低域カットで声との干渉を軽減
処理手順:
- 配信で使うBGM素材をすべてDeckReadyにアップロード
- Streamingプリセットを選択(-14 LUFS統一)3. バッチ処理を実行4. 処理済みファイルをOBSのメディアソースに設定
一度処理すれば、どのBGMに切り替えてもフェーダーの位置を変える必要がなくなります。
配信プラットフォーム別のラウドネス基準#
YouTube Live#
- ラウドネスノーマライゼーション:-14 LUFS
- ライブ配信にも適用される
- アーカイブ動画にはさらに処理が入る場合がある
Twitch#
- 公式のラウドネス基準:明確な規定なし
- 実務上は-14 LUFS程度を目安にするのが一般的
- 配信者側で適切に管理する必要がある
ニコニコ生放送#
- 公式基準:なし
- プラットフォーム側でのノーマライゼーションは限定的
- 配信者が適切に設定しないと、音割れや音量不足が起きやすい
ツイキャス#
- 公式基準:なし
- 音声ビットレートが低めなので、クリアな音質を心がける
- 声の明瞭度を優先し、BGMは最小限に
マイク選びの基本#
音質の改善において、最もコスパが高い投資はマイクです。
| マイク種類 | 価格帯 | 特徴 | 向いている環境 |
|---|---|---|---|
| USBコンデンサー | ¥5,000-20,000 | 手軽、高感度 | 静かな個室 |
| ダイナミック | ¥8,000-30,000 | 環境ノイズに強い | 騒がしい環境 |
| XLRコンデンサー | ¥15,000-50,000 | 高音質、要I/F | 配信専用部屋 |
迷ったら、ダイナミックマイクが無難です。 環境ノイズを拾いにくく、扱いやすいのが特徴です。 USB接続で手軽に使えるモデルも増えています。
配信前の音声チェックリスト#
配信開始前に毎回確認すべき項目をまとめます。
- OBSのサンプルレートが48kHzになっている
- ノイズ抑制フィルターが有効になっている
- マイクの音量がメーターで-12〜-6dBを指している
- コンプレッサーとリミッターが設定されている
- BGMの音量が声の-15dB以下になっている
- デスクトップ音声のレベルが適切である
- テスト録画を聴いて問題がないか確認した
- ヘッドホンでモニタリングして音声を確認した
まとめ#
ライブ配信の音質改善は、大きく分けて2つのアプローチがあります。
リアルタイム処理(OBS側):
- ノイズ抑制、コンプレッサー、リミッターの音声フィルターを設定
- マイクとBGMの音量バランスを調整
事前処理(DeckReady側):
- BGM素材の音量を統一してクリッピングを防止
- Streamingプリセットで配信プラットフォームの基準に最適化
両方を組み合わせることで、プロの配信者と遜色ない音質を実現できます。 特にBGMの事前マスタリングは見落とされがちですが、 配信中の音量調整ストレスがなくなるだけでも大きな価値があります。
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