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店舗BGMの著作権と使用料の基礎知識【2026年版】

店舗でBGMを流す際の著作権ルールを2026年最新情報で解説。JASRAC・NexToneの使用料、フリー音源サービスの選び方、Spotifyなどストリーミング利用の注意点まで、店舗オーナー必見の基礎知識。

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はじめに:知らなかったでは済まされないBGMの著作権#

「お店でSpotifyを流すだけなら問題ないでしょ?」

この考えは、実は大きな誤解です。 店舗でBGMを流す行為は著作権法上の「演奏」に該当し、 適切な手続きを踏まなければ著作権侵害になります。 罰則として、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下)が科される可能性もあります。

しかし、正しい知識があれば怖がる必要はありません。 この記事では、店舗BGMに関する著作権の基礎知識を2026年の最新情報に基づいて解説します。

著作権の基本:なぜ店舗BGMに許可が必要なのか#

「演奏権」とは#

著作権法では、音楽を公衆に聞かせる目的で再生する行為を「演奏」と定義しています(著作権法第22条)。 店舗でBGMを流すことは、この「演奏権」に関わる行為です。

営利を目的とした店舗(飲食店、美容室、小売店、 ジムなど)でBGMを流す場合、以下のいずれかの対応が必要です。

  1. 著作権管理団体に使用料を支払う
  2. 著作権フリーの音源を使用する3. 商用利用が許可されたBGMサービスを利用する

例外規定#

以下の場合は著作権料の支払いが不要です。

  • 非営利・無料・無報酬の3条件を全て満たす場合(著作権法第38条)
  • 例:入場無料のチャリティイベントで無報酬の演奏者が演奏する場合

ただし、通常の店舗営業は「営利目的」に該当するため、この例外は適用されません。

JASRAC(日本音楽著作権協会)の使用料#

JASRACとは#

JASRACは日本最大の音楽著作権管理団体で、 国内外の楽曲約450万曲の著作権を管理しています。 JASRACに使用料を支払えば、管理楽曲を店舗BGMとして合法的に利用できます。

2026年の使用料体系#

JASRACのBGM使用料は、店舗の面積に応じて年額で設定されています。

店舗面積年額使用料(税別)月額換算
500㎡まで6,000円500円
1,000㎡まで10,000円833円
3,000㎡まで20,000円1,667円
6,000㎡まで30,000円2,500円
9,000㎡まで40,000円3,333円
9,000㎡超50,000円4,167円

この料金は非常にリーズナブルです。 月額わずか500円から、JASRAC管理下の膨大な楽曲をBGMとして自由に使用できます。

手続きの流れ#

  1. JASRACのWebサイトから「BGM利用」の申請書をダウンロード
  2. 必要事項を記入して郵送またはオンライン申請3. 請求書が届いたら使用料を支払い4. 利用許諾証が発行される

NexTone(ネクストーン)について#

NexToneとは#

NexToneは2016年に設立された著作権管理事業者で、 JASRACに次ぐ規模を持っています。 特にJ-POPやアニメソングの管理楽曲が多いのが特徴です。

JASRACとの違い#

項目JASRACNexTone
管理楽曲数約450万曲約30万曲
得意分野洋楽、クラシック、演歌J-POP、アニメ、ボカロ
BGM使用料面積ベースの年額制個別契約(要問合せ)
申請方法Web/郵送個別対応

注意点:JASRACとNexToneの両方に管理されている楽曲もあるため、 使用したい楽曲がどちらに管理されているかを事前に確認する必要があります。 作品データベース(J-WID / NexTone作品検索)で検索できます。

フリー音源サービスの活用#

著作権管理団体への支払いを避けたい場合、著作権フリー(ロイヤリティフリー)のBGMサービスを利用する方法があります。

主要サービス比較#

サービス名月額料金楽曲数商用利用特徴
Artlist$9.99〜数万曲高品質、映像制作向け
Epidemic Sound$15〜50,000曲以上ジャンル豊富
Audio Jungle曲単位購入数十万曲1曲ずつ購入可
DOVA-SYNDROME無料12,000曲以上日本語サイト、無料
甘茶の音楽工房無料約500曲日本語サイト、無料

「著作権フリー」の落とし穴#

「著作権フリー」という表現には注意が必要です。 多くの場合、これは「著作権が存在しない」のではなく、 **「一定の条件のもとで使用料が免除される」**という意味です。

確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 商用利用が明示的に許可されているか
  • 店舗BGMとしての使用が許可範囲に含まれるか
  • クレジット表記が必要か
  • 使用期間の制限があるか
  • 利用規約が改定された場合の扱い

ライセンス条件を必ず確認し、不明な点は提供元に問い合わせましょう。

ストリーミングサービス利用の注意点#

Spotify・Apple Musicの商用利用は原則NG#

最も多い誤解がこの部分です。 Spotify、Apple Music、Amazon Music、 YouTube Musicなどの個人向けサブスクリプションサービスは、 利用規約で商用利用を禁止しています。

Spotifyの利用規約には以下のように明記されています。

"Spotifyサービスを商業的に利用してはならない"

つまり、個人プランを契約して店舗でBGMとして流す行為は、利用規約違反となります。

Spotify for Businessの終了#

以前はSpotify for Business(Soundtrack Your Brand経由)という商用利用サービスがありましたが、 現在は日本での展開は限定的です。 代わりに以下の商用音楽配信サービスが利用できます。

商用利用可能なストリーミングサービス#

サービス名月額目安特徴
USEN(USEN MUSIC)3,000〜5,000円国内最大手、ジャンル豊富
モンスター・チャンネル1,880円コスパ良、500chあり
OTORAKU(USEN系列)1,980円タブレット型、操作簡単
Simple BGM980円安価、基本機能に特化

これらのサービスは著作権処理済みなので、別途JASRACに支払う必要はありません。

よくある質問(FAQ)#

Q1:CDを買って店舗で流すのは合法?#

CDの購入は「個人的に楽しむ権利」を取得したにすぎません。 店舗で流す場合はJASRAC等への使用料支払いが別途必要です。

Q2:有線放送(USEN)を使っていれば著作権料は不要?#

USENなどの商用BGMサービスには著作権料が含まれているため、別途の支払いは不要です。

Q3:YouTubeの音楽を店舗で流しても良い?#

YouTubeの利用規約では商用利用が禁止されています。

また、動画の音声のみを抽出して使用する行為も著作権侵害に該当する可能性があります。

Q4:自分で作曲した音楽は自由に使える?#

完全にオリジナルの楽曲であれば、著作権は作曲者本人に帰属するため、自由に使用できます。

ただし、JASRACに信託している場合は自分の曲でも使用料が発生することがあります。

Q5:無断使用が発覚した場合はどうなる?#

JASRACは定期的に店舗の調査を行っています。 無断使用が発覚した場合、過去に遡って使用料を請求されるだけでなく、 悪質な場合は刑事告訴される可能性もあります。

実践的な対策ガイド#

小規模店舗(〜30坪)のおすすめ#

最もコスパの良い選択肢:JASRAC年額6,000円 + 自分でプレイリスト作成

CDやダウンロード購入した楽曲をプレイリスト化し、 JASRACに年額6,000円を支払えば、合法的にBGMを運用できます。 楽曲のラウドネスを事前に統一しておくと、曲ごとの音量差も解消されます。

中規模店舗(30〜100坪)のおすすめ#

手間を省きたいなら:商用BGMサービス(月額2,000〜5,000円)

選曲の手間なく、著作権もクリアされた状態でBGMを導入できます。

複数店舗展開のおすすめ#

統一したブランドBGM:著作権フリー音源でオリジナルプレイリスト + ラウドネス統一ツール

全店舗で統一されたBGM体験を提供するには、 著作権フリー音源から厳選した楽曲でブランド専用プレイリストを作成する方法が最適です。

まとめ#

店舗BGMの著作権で押さえるべきポイントです。

  1. 店舗でBGMを流すには著作権の処理が必須
  2. **JASRACの使用料は年6,000円〜**と非常にリーズナブル3. NexTone管理楽曲は別途手続きが必要な場合がある4. Spotifyなど個人向けストリーミングの商用利用はNG5. 商用BGMサービスなら著作権処理込みで手間なし6. 著作権フリー音源も利用条件を必ず確認する7. 知らなかったでは済まされないので、今日中に対応を

正しい知識を持ち、適切な手続きを踏めば、BGMの著作権問題は決して難しくありません。

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