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音楽配信サービスのラウドネス基準一覧【2026年版】

Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Music、LINE MUSICのラウドネス基準値を一覧表で解説。最適なLUFS設定と配信前マスタリングのポイントも紹介。

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音楽配信サービスのラウドネス基準を理解する#

音楽配信サービスには、楽曲の音量を自動的に調整する「ラウドネスノーマライゼーション」という機能があります。 この機能によって、プレイリスト内のすべての楽曲が同じくらいの音量で再生されるようになっています。

しかし、各サービスの基準値は異なります。 配信前のマスタリングで適切なラウドネスに仕上げないと、 意図しない音質劣化が起こる可能性があります。 この記事では、2026年時点の各サービスの基準値と、最適なマスタリング設定を解説します。

ラウドネスの基礎知識#

LUFSとは#

LUFS(Loudness Units relative to Full Scale)は、 人間の聴覚特性に基づいた音量の測定単位です。 従来のdBやRMSと異なり、人間が実際に感じる「うるさき」に近い値を示します。

  • -14 LUFS: Spotifyの基準値。一般的なポップスの推奨値
  • -16 LUFS: Apple Musicの基準値。やや控えめ
  • -24 LUFS: 放送基準。ダイナミクスレンジが広い

数値が0に近いほど音が大きく、マイナスが大きいほど音が小さくなります。

True Peak(トゥルーピーク)#

デジタル音声のサンプル間で発生する瞬間的なピークです。 配信プラットフォームでは -1.0 dBTP 以下が推奨されており、 これを超えるとデジタルクリッピングが発生する可能性があります。

ラウドネスノーマライゼーションとは#

配信サービスが楽曲の統合ラウドネスを測定し、基準値に合わせて音量を自動調整する機能です。 基準値より大きい楽曲は音量を下げ、小さい楽曲は音量を上げます。

各配信サービスのラウドネス基準一覧#

主要サービス比較表#

サービスターゲットTrue Peak上限ノーマライゼーションコーデック
Spotify-14 LUFS-1.0 dBTP有効(デフォルト)Ogg Vorbis 320kbps / AAC
Apple Music-16 LUFS-1.0 dBTP有効(Sound Check)AAC 256kbps / ALAC
YouTube Music-14 LUFS-1.0 dBTP有効AAC / Opus
Amazon Music-14 LUFS-2.0 dBTP有効AAC / FLAC
LINE MUSIC-15 LUFS-1.0 dBTP有効AAC 320kbps
Tidal-14 LUFS-1.0 dBTP有効FLAC / MQA
SoundCloud-14 LUFS-1.0 dBTP条件付きOgg Vorbis / AAC

各サービスの詳細#

Spotify

Spotifyは3段階の音量設定をユーザーに提供しています。

  • Loud: -11 LUFS(音圧重視の楽曲向け)
  • Normal: -14 LUFS(デフォルト設定)
  • Quiet: -23 LUFS(ダイナミクス重視)

マスタリング時は -14 LUFS を基準にするのが最も安全です。 -14 LUFSより大きい楽曲は自動的に音量が下げられますが、 小さい楽曲は音量が上げられません(2026年時点)。

Apple Music

Apple MusicのSound Check機能は -16 LUFS を基準にしています。 Spotifyより控えめな基準のため、ダイナミクスレンジが広い楽曲でも自然に再生されます。

Apple Musicはロスレス配信(ALAC)とDolby Atmos(空間オーディオ)にも対応しており、 高品質な再生環境を提供しています。

YouTube Music

YouTube Musicは動画プラットフォームとしてのYouTubeと同じ基準(-14 LUFS)を採用しています。

ただし、Music Videoとオーディオ専用コンテンツで処理が異なる場合があります。

Amazon Music

Amazon Musicは -14 LUFS を基準としています。 Amazon Music HDではロスレス(FLAC)、 Ultra HDでは24bit/192kHzのハイレゾ配信に対応しており、 マスタリングの品質がそのまま反映されます。 True Peakの上限が -2.0 dBTP と他より厳しい点に注意が必要です。

LINE MUSIC

日本で人気のLINE MUSICは -15 LUFS を基準としています。 SpotifyとApple Musicの中間に位置する設定です。

ラウドネスが基準値と合わない場合に起こること#

基準値より大きい場合(例:-8 LUFS → -14 LUFS)#

プラットフォームが音量を下げます。 この際、マスタリングで犠牲にしたダイナミクスレンジは戻りません。

つまり、「音を潰して音圧を上げた」のに、結局音量を下げられてしまうという本末転倒な結果になります。

影響:

  • ダイナミクスが失われたまま音量だけ下がる
  • 他の楽曲と比べて「平坦」に聞こえる
  • 音圧戦争(Loudness War)の負け組になる

基準値より小さい場合(例:-20 LUFS → -14 LUFS)#

多くのプラットフォームでは音量を引き上げますが、 この引き上げによりノイズフロアが上がったり、 ダイナミクスが崩れたりする可能性があります。

影響:

  • ノイズフロアが目立つようになる
  • 歪みが発生する可能性がある
  • 意図しないダイナミクスの変化

最適なマスタリング設定#

推奨設定#

すべてのプラットフォームに対応する万能な設定は以下の通りです。

項目推奨値
統合ラウドネス-14 LUFS
True Peak-1.0 dBTP 以下
ダイナミクスレンジ8〜12 dB
サンプルレート44.1kHz 以上
ビット深度16bit 以上(24bit推奨)

ジャンル別の推奨ラウドネス#

ジャンル推奨LUFS理由
ポップス-12〜-14適度な音圧で聴きやすさを確保
EDM / ダンス-8〜-12高い音圧が求められるが、ノーマライゼーションを考慮
ロック-10〜-14ダイナミクスと音圧のバランス
ジャズ / クラシック-16〜-20ダイナミクスレンジを重視
ヒップホップ-10〜-14ベースの存在感を維持
アンビエント-18〜-23繊細な表現を活かす

DeckReadyでのラウドネス調整#

配信向けの楽曲やDJ用音源のラウドネス調整には、DeckReadyが便利です。

配信向けマスタリング#

  1. DeckReadyでターゲットLUFS を -14 LUFS に設定
  2. 処理を実行3. 出力されたファイルを各配信サービスにアップロード

DJ用音源の統一#

  1. DeckReadyでターゲットLUFS を -8〜-10 LUFS に設定(クラブ再生向け)
  2. 複数トラックをバッチ処理で一括統一3. rekordboxにインポート

よくある質問#

Q: すべてのプラットフォームに1つのマスターで対応できますか?#

A: はい。 -14 LUFS / -1.0 dBTP のマスターを作成すれば、 主要なすべてのプラットフォームで適切に再生されます。 Apple Music(-16 LUFS)の場合、 わずかに音量が引き上げられますが、問題になるレベルではありません。

Q: ラウドネスノーマライゼーションをオフにするユーザーはいますか?#

A: います。 Spotifyでは設定でオフにできます。 その場合、楽曲本来の音量で再生されるため、 -14 LUFSより大きい楽曲は他より大きく、小さい楽曲は小さく聞こえます。

Q: DJ用とストリーミング用で別のマスターを作るべきですか?#

A: 理想的にはYesです。 ストリーミング用は-14 LUFS、DJ用は-8〜-10 LUFSと使い分けるのがベストです。 DeckReadyを使えば、同じ音源から異なるラウドネスのバージョンを簡単に作成できます。

まとめ#

2026年の音楽配信において、ラウドネス基準の理解は必須です。 -14 LUFS / -1.0 dBTP を基準にマスタリングすれば、 主要なすべてのプラットフォームで最適に再生されます。

過度な音圧競争は避け、楽曲のダイナミクスを活かしたマスタリングを心がけましょう。 ラウドネスノーマライゼーションの時代では、 「音を潰して大きくする」よりも「ダイナミクスを活かして-14 LUFSに収める」方が、結果的に良い音で届きます。

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